働くことを楽しみ、納得して働き続けられる。そんな薬局に。
これからの薬局に、これからの人材を。
「やくるーと」に関西企業初の参画が決定した。
それが、大阪府豊中市にある株式会社グリーンメディックなのである。
こんなことを言うと学生諸君からお叱りを受けそうだが、「やくるーと運営事務局」は、多くの企業に「やくるーと」を見つけてもらえるレベルの広報活動をしていない。
既存参画企業からの紹介または、じっくりリサーチをしてからアプローチすることで、
オススメできる企業を着実に増やしているのが現状である。
よって、自慢できないのは百も承知であるが、採用活動によほど高いアンテナを立てていなければ、我々を見つけることはできない。
ということは・・・
少々前置きが長くなったが、さっそく多田さま(株式会社グリーンメディック 代表取締役 管理薬剤師)にお話を伺わせてもらうことにしよう。
変な質問からで恐縮ですが、「やくるーと」に何を期待されて
ご連絡いただけたのでしょうか?
私たちが目指しているのは、「これまでの薬局」ではなく「これからの薬局」です。
ですから、そこら中に溢れている「これまでの価値観を持った薬剤師」ではなく、
あらたな価値観を身につけることができる「これからの薬剤師」が
必要だと考えています。
「やくるーと」のHPに記載されている「資格だけじゃない わたしを見てほしい」
というキャッチコピー。企業と学生が飲みながらざっくばらんに話すことができる
イベント。ここに参加する薬学生ってどんな人なんだろう?
もしかしたら、日々探し求めている人に出会えるかも。
そう思ったのが、きっかけです。
私「日々探しているのですか?」
多「はい。日々です。」
私「・・・・・・・」
多「どこにもいないような薬剤師の卵に出会えませんかね?」
興味津々で質問してくる表情は、宝探しを始める子供のそれとどこか似ている。
この社長の運営する会社なら「やくるーと」を見つけたとしても不思議ではな
グリーンメディックが目指す「これからの薬局」。
多田さんは、どんな薬局をこれからの薬局と考えているのでしょうか?
そうですね。
医薬分業が進むことで、薬の専門家に対する国からの期待は高まっていますが、
多くの患者さんにとって、薬局はお医者さんが出した処方箋を持っていき、
薬と引き換える場所のように感じられているのではないかと思います。
処方箋は、薬の引換券で、薬局はその交換所。
まだ、その程度の価値として認識されているのかもしれません。
私たちが目指すのは、新しい価値を発信し、社会に貢献できる薬局。
患者さんが描いているこれまでの薬局像や薬剤師が目指しているこれまでの薬剤師像
を少しでも変えていきたいと思って取り組んでいます。
具体的に、どのような取り組みをしているのでしょうか?
例えば「零売(れいばい)」。医療用医薬品には、処方箋外の薬が数多く存在し、
患者さんの軽い症状は薬剤師が問診の上、自ら判断・決定して薬を創る自家製剤や、
処方せんがなくても医療用医薬品をお分けすることができます。
これにより、薬剤師という専門家が豊富な薬の知識を役立てた幅広い対応を
行うことが可能になります。ドラッグストアでセルフメディケーションを進めていきたいという夢をもつ薬剤師の卵の方に、こんなこともできるんだよと教えてあげたいですね。
また、処方せんに基づく外来調剤や在宅服薬指導においても、患者さんの症状や
ニーズから医師に積極的に提案しています。
医師から薬剤師への一方通行ではなく、薬剤師から医師へ適切な情報を発信するなど、
徹底的な患者さん目線で行動できる薬局が、これからの薬局なのではないかと
考えているのです。
ベン・ケーシーのスーツが似合う。そんな師匠との出逢い。
そういえば、どうして薬剤師に?
危うく聞き逃すことになりそうだった質問。
このタイミングでぶつけさせていただいた。
・・・多田さんが語りだす。
大正生まれで、薬務官として戦争まで行った人。
パリッとして、いつもベン・ケーシー着て、チェーンメガネ。
立ち振る舞いもアカデミックみたいな感じで、話し方も理路整然としている。
そんな師匠に出会ったのは、27才の時。
きっと周りからは、やんちゃに見えた高校時代。
卒業するころには、起業することを視野に入れていた。
東京には、一度しか行ったことはなかったけれど、やっぱり日本の中心。
起業家として勝負をしていくのなら、大阪ではダメだ。
そう思っていたから、東京の大学を選んだ。
生活費は自分で稼ぐ必要があったから、バイトもした。
起業するためのノウハウを学ぶため総合商社などを受けたが、現実は思い通りにいかず、結局のところ製薬メーカーへ・・・。東京を担当地区として任され、働きながら起業の準備をしてきた。東京の10年を経て大阪に。戻って、開業するために短い期間勤務した薬局で出逢ったのが師匠。
古い人だから最新の知識とかは、今の自分よりはしらないこともあったかもしれない。
でも、患者さんはみんな支持していた。私もこんな薬剤師がいるんだと思った。
その先生に調剤の全てを教わった。それは今でも通用する。
あまり興味を持てなかった薬剤師という仕事に、やりがいを感じはじめたのも
師匠との出会いがきっかけ。
師匠が、いまの私を見たらどんな言葉をかけてくれるのだろうか。
残念ながら、その答えを知ることはできないんだけどね。
評価もキャリアも曖昧にはしない。
グリーンメディックには、明確な評価制度とキャリアステップがあるらしい。
これは、薬局では比較的珍しい。
人事考課制度プロジェクトを昨年立ち上げ、スタッフ6名を抜擢し、全社員からのアンケート集計や意見をもとに「どんな社員と働きたいか、どんな会社にしたいか」を起点にしてキャリアアップシートと等級制度を一から作り上げている。
キャリアアップシートを用い自己評価と他者評価をつけていくことで、自分の必要なキャリアが明確になる仕組みだ。
さらに1ヶ月に一度行われる1on1。こちらは人事評価管理クラウド「HR Brain」を導入し、目標をお互いに可視化することで納得感が生まれ、前向きに仕事に取り組める環境が整っている。
自己分析をして、目標に向かい努力を重ねていく。
曖昧な制度ではなく、会社の意思を示しその軸との比較でマネジメントを重ねる。
双方の重ねる時間が増えれば増えるほど、共に成長を実現することが出来るのではないかと思う。
働きながら生きる。生きながら働く。
グリーンメディックは、どのようなタイプが活躍する会社なのでしょうか?
そうですね・・・
当社には、色々なタイプの人材がいます。
そして、働き続けているということは、多かれ少なかれ活躍して
いるからこそ働き続けているんですよね。
そう考えると、タイプとしてこうじゃなければ活躍できないという
ことはないのかもしれません。
ただ、冒頭でもお伝えしましたが、私たちが目指しているのは
「これまでの薬局」ではなく「これからの薬局」。
薬物治療における新しい価値観を創出し、社会に貢献していきたいと考えているので、
この想いに共感してくれているということは、重要なことかなって思っています。
私「なるほど・・・。それ以外で大切にしていることはありませんか?」
そうですね・・・
より実務に近いことでポイントとなるのは、患者さまへのスタンス。
徹底的に患者さん目線に立ち、貢献することを本気で考えられる人がいいですね。
少し話しは変わりますが、新しい薬局の価値観を生み出すには、担い手である薬剤師や事務スタッフの仕事の概念も従来のままではいけないと思っています。
仕事がプライベートも含めた人生の一部であるなら、仕事もプライベートも納得できる
人生を歩んで欲しい。
それを実現できるように、僕も頑張っていかなければ・・・。
一瞬、わたしがピリッとした空気を感じたのは、気のせいではなかったと思う。